冬の大三角は、オリオン座のベテルギウス、こいぬ座プロキオン、おおいぬ座のシリウスです。そのシリウスが地球から見える二番目に明るい恒星で-1.47等星です。もちろん一番明るいのは太陽ですね。
ギリシャ語で光り輝くものという意味で、中国では天狼、和名は青星です。距離は8.6光年で五番目に近い恒星です。実はシリウスAとシリウスBからなる連星なのです。明るさが極端に違うので小さい望遠鏡では見えません。
そのシリウスの少し右の下の方にりゅうこつ座のカノープスという星があります。全天でシリウスについで三番目に明るい-0.72等星です。距離は310光年で、太陽の65倍の超巨星です。
りゅうこつ座というのはなじみがないと思いますが、以前はアルゴ座の一部でした。とも座、ほ座、らしんばん座、りゅうこつ座に分割されたのです。船底の骨格のように見える部分です。りゅうこつ座は南半球下の方の星座なので知らない人が多いと思いますね。
カノープスは東京での南中高度が1.7度と低いので条件がよくないと見えません。関東地方ではこの星を「布良星」(めらぼし)といい、千葉県南部の地名です。また、南極老人星ともいい、見たものは長寿になるという伝説もあります。
90-52.7-観測地の緯度で、南中高度が分かります。私の生まれ育ったのは瀬戸内海の北緯34度の場所で、3.3度なのでよく見えてました。沖縄では10度ぐらいなので普通に見える星ですね。
山形県の蔵王山(北緯38.1度)から見えたという記録があるのですが、月山(北緯38.5度)からも撮影できたようです。たぶんこれが北限ですね。
地球が丸いので高度が上がると水平線が下がるし、大気が下層ほど濃いことによる屈折で、理論値では水平線下でも見えるようですね。
東京での南中時刻は一月中旬で22時過ぎ、一月下旬で21時半ぐらいです。真南の水平線が見える場所で、晴れているだけでなく、空気の透明度が高い日でないと難しいかもしれません。